ポーカーチェイスメモ・フロップ編
長すぎてよくわからなくなってきたので放出。
フロップでは以下 5つの点が特に重要になる。
- 主導権を持っているかどうか(プリフロップで最後にレイズしたのは自分?相手?)
- ポジション(相手より後に行動できるか)
- ボードテクスチャ(フロップでめくれた 3枚のカードの様子を見る)
- オッズとアウツ(役ができる確率と、リターンに対してベット・コール額が釣り合ってるか)
- フロップに残った対戦相手の数
フロップでできること
「主導権を持っているか」と「ポジションがあるか」で取れる選択肢が変わる。
というか、取れる選択肢はいずれにせよ「ベット」「チェック」、先にベットされたら「フォールド」「コール」「レイズ」であることは変わらないのだが、主導権の有無とポジションによって順序や意味合いが変わる。
ポジションなし(先) | ポジションあり(後) | |
主導権なし(弱) | 1.なしなし | 2.なしあり |
主導権あり(強) | 2.ありなし | 1.ありあり |
フロップですでにヘッズアップになっている場合、
- 自分が主導権あり、ポジションあり、の「ありあり」なら、相手は「なしなし」になっている。
- 同様に、「ありなし」なら、相手は「なしあり」になっている。
逆の立場で参加することもあるだろうが、「主導権」と「ポジション」の要素で見た場合、これら 2種類の対戦になっている。
ヘッズアップの「1.ありあり VS なしなし」、「2.ありなし VS なしあり」で双方が取れるすべての選択肢とその意図を把握することでフロップでの戦い方をおおかた理解できる。あとは、最初に重要と書いた 5つの要素の残りの 3つ、「場の様子」・「自分の役」・「対戦相手数」によって実戦でどの選択肢をとるか決める。なお、ポジションがあるなら「相手のアクション」も判断材料に加わる。
フロップでのベット額
ベットする場合、1/2 を利用する。pot 額の 1/2 の額をベットという意味であり、プリフロップで何が起こったかにより額が変わるが、HU なら 4BB 前後打つことになる。UI にも用意されており非常に使い勝手がいい額。ただし、3bet などにより pot 額が 20BB 近い場合は 1/2 だと多すぎるので、1/3 を使うことが多い。
- レイズする場合はフロップでは「オールイン」と「×3」を天秤にかける。両方無理な場合、「×2」で行う*1
理屈は後述するが、フロップで重要な 5つの要素の一つ「オッズとアウツ」が関係している。
- 上級者はもっと調整して意図を込めて打っているらしいが、初中級者は有力な額で統一して意図をわからなくしたほうが強い
ボードテクスチャ
まずフロップに入ったとき目に入ってくる 3枚のコミュニティカードの様子について把握する。
ボードテクスチャとは、場にめくれたカードの特徴をざっくりで言い表す言葉。自分の手札がどれぐらいの強さとなったかがわかり、言語化できるので知っておくと便利。特にフロップで 3枚めくれた時点の特徴であるフロップテクスチャを整理しておくことで、そのハンドでのアクション方針を決めやすくなる
超ざっくりの観点
- ドライ / ウェット
- ストレート以上の役ができやすそうなボードをウェットボード、できなさそうなボードをドライボードと呼ぶ
- ロー / ミドル / ハイ
- ぱっと見、低い数値のカードばかりめくれているボードをローボード、高い数値ばかりのボードをハイボードと呼ぶ
- でも「 K ハイボード」の用法だと一番でかいのが K というだけで 3枚とも高い数値というわけではない
- ミドルは中間だが、どこからどこまでが中間なのかは諸説ある
- 個人的には K にストレートが繋がらない J 以下はミドル。Q がミドルかどうかは時と場合によるって感じ。ミドルの下限は不明。J とギリストレートが絡む 7 ぐらい?
- ぱっと見、低い数値のカードばかりめくれているボードをローボード、高い数値ばかりのボードをハイボードと呼ぶ
スートの観点
- レインボー:40%。3枚ともスートが別。フラッシュの可能性が低く数値に集中できる。レインボーフロップの 3枚のどれかと同じスートがターン&リバーで 2枚とも来ないとフラッシュは無い。
- ツートーン:55%。ハート2枚+スペード1枚、など。手にハート2枚持ってる人はフラッシュドローになっている。
- モノトーン: 5%。ハート3枚、など。手にハート2枚持ってる人はフラッシュ完成。ハート持ってない人にとっては勝ち目が薄い状況。ただし、4枚目のハートがめくれた場合、ハートの A を持っている人が勝つのでハート KQs でも安心できない危険な状況
※ レインボーはドライボード、それ以外はウェットボードにあたる。フロップでは半分以上の確率で同じマーク2枚のツートーンボードになる
数値の観点
- バラバラ:K83 など。ストレートができそうもないぐらいバラバラ。現時点でフルハウスが無く、見た目通り KK 88 33 K8 K3 83 AA KX QQ-99 8X 77-44 3X ...という順で強い。
- ペアボード:966 など。フォーカード、フルハウスを考慮しなければならず危険。この場合、66 99 96 6X AA-TT 9X ... の順に強く、87 T8 などにストレートの目がある
- 3カードボード: 666 など。フォーカードがあり、ポケットペアがフルハウス確定。ポケットペアのパワー比べになりやすく常人には手を出しにくい。
- コネクテッドボード: 984 など。現時点では 99 88 44 98 94 84 AA-TT 9X 8X 4X の順だが QJ,、JT, 76 などのストレートドローにまくり目がある。
- 3コネボード: JT9 など。すでに KQ, Q8, 87 がいたらストレート完成しており危険。ストレートの持ち主がいそうなら JJ, TT 99 を持っていても安心できない
- コネかつペア: JJT など。フォーカード、フルハウスがある。ストレートやフラッシュでも JJ JT TT に勝つことはなく、勝敗の判断が困難。
※ バラバラはドライボード、それ以外はウェットボードにあたる。
※ ハイボードは主導権を持っているプレイヤーと相性がいい。A や 絵札でまとめた手札を持っているはずだから
※ 逆に、ミドル以下のボードはプリフロップでコールで参加したプレイヤーのほうが役になっていることが多い
活用
何のためにボードテクスチャを表す言葉があるかというと、ざっくり見て一目でチャンスや危険を検知するためとは思うが、可能なら、ざっくりとは言わず、見た瞬間、強い順にハンドをイメージできると強い(数値の観点だけでも)。
- 今時点で自分がどのあたりか、この後 4枚目 5枚目をめくったらどうなりそうかがわかる
- 相手の手札に関しては、プリフロップで「どのポジションから」「レイズ・コールのいずれで参加したか」で相手が持ちうる手札の範囲をイメージしたい
- イメージできているなら、「相手のアクション」でさらに絞りたい。チェックしかしない相手には自分からベットすれば、それにどう対応するかで判断できる
- 相手がアクションするたびに、頭の中にある相手のレンジ表を見て "ない" 手札の箇所を黒塗りしていくような作業
- 相手の消しきれない手札に対して、自分の手札がどの位置にあるか。相手の手札の多くに勝ってるなら、押せる
- ぶっちゃけ相手の手札なんかわかるわけない(わかったらだれもこのゲームやらない)。"あり得ない手札" を見せつけられては修正して相手を理解していく
- 相手も「53oでも SB からコールで参加」「AA-QQ, AK で 3bet してこない、フロップでもベットしてこない」など、自分が知ってるセオリーとは違うムーブでこちらを惑わそうとしてる
- イメージできているなら、「相手のアクション」でさらに絞りたい。チェックしかしない相手には自分からベットすれば、それにどう対応するかで判断できる
「主導権あり、ポジションなし」 VS 「主導権なし、ポジションあり」
ボードの眺めかたを把握したところで、「主導権はある」が、ポジションはないプレイヤーと、主導権はないが「ポジションはあり」のプレイヤーとのヘッズアップの流れを考える。上の「フロップでできること」に書いた表の「2.ありなし VS なしあり」にあたる(話の流れ上、「1. ありあり VS なしなし」は後述する)。主導権とポジション、お互い片方ずつしか持ってないとき、どっちの方が有利なのか、という疑問もわく。
この戦いで取れる選択肢は以下となる。
- 主導権あり、ポジションなし(先に行動)
- ベット、つまり、CB を打つ
- チェックする。主導権放棄ととられる可能性がある
- 主導権なし、ポジションはある(後に行動できる)
- 相手ベット(CB) → 弱ければフォールド、強ければコール、微妙ならレイズで応接する
- 相手チェック → 相手がなぜか主導権を放棄、ベットとチェックバックを選べる
主導権を持ってる側が先に行動する。主導権を持っているプレイヤーがフロップでもベットをすることを CB といい、フロップでの最重要ムーブといえるので詳細に後述する。
コンティニュエーションベット(CB)― 主導権の有利
主導権を持つプレイヤー(プリフロップで最後にレイズしたプレイヤー)が、フロップでも続けてベットすること。最重要技。さらにターンも CB を打ったらダブルバレル、リバーまで 3連発 CB ならトリプルバレルという*2。
CB を打った時点で、多くの場合、対戦相手がフォールドし、pot を獲得できるかなりの打ち得技。降りなかった場合、自分と同等か強い手札を持っているかもしれないとわかる。
なんで CB が機能するのか
フロップで、非ペアの初手がヒットして 1ペアになる確率は 32.4% しかない。普通に考えると、トップヒットに至ってはその 1/3 で 10%程度なのに、主導権一本を根拠に毎回 CB 打てるというのはおかしいと思うはず。
思考簡略化のため、HU でざっくりお互いが 1/3 でヒットすると考えると、自分と相手それぞれがヒットする確率は、お互いヒット 1/9 , 自分だけヒット 2/9、相手だけヒットも 2/9, お互い滑る 4/9 となる。
ここで、主導権の考え方が関わってくる。主導権を持っているプレイヤーはプリフロップで不利なポジションからオープンレイズしているなら、少なくとも ATo, KJo は持っている(フラッシュ狙いの AXs, KXs がいてもドミネイトされていない自信が必要)。一方、コールで参加したプレイヤーは A, K がかぶらないように QT とか 98s とかで入ってる。お互いブタなら、主導権を持っているプレイヤーの方が勝つ可能性が高い。つまり、「相手だけがヒットしている 2/9 の状況以外は、主導権を持つ私の手札の方が勝ってますよ。」という主張になる。
- 先ほどの「主導権だけあり」VS「ポジションだけあり」の戦いは、UTG, HJ のオープンを CO, BTN あたりがコールして起こることが多いため特に主導権あり側のハンドが本当に強いことが多い
- ブラインドポジションからの 3bet でもそうなる。3bet できるハンドも強い
主導権なし(ヒット) | 主導権なし(すべり) | |
主導権あり(ヒット) | 1/9 あり側微有利 | 2/9 あり側有利 |
主導権あり(すべり) | 2/9 あり側不利 | 4/9 あり側微有利 |
ヒットかどうかだけで 1/3 とか言ってて実際には 2/3 のすべり確率内にドローハンドも含まれているので、7/9 の状況で有利というのは諸説ある。それでも一般的には主導権を持ってたら 3回中 2回ぐらいは CB を打てるのではないか、と言われている。よって、主導権を持っていたらフロップでベットすることを第一に考えるのがオープンレイズからのセットプレイとされており、主導権を持ってない側も相手が CB を打つのか打たないのかがフロップでの大きな関心事となる。
CB を打ちづらい状況
とはいえ、フロップの 3枚が公開されたとき、やはり 9回中 2回とか 3回は相手にとって都合のいいボードテクスチャになっている。それを検知したときは CB を打たない。それ以外の要因で打てない場合もある。
- 参加者が多いとき
- 先ほどのフロップで 1/3 ヒットの考えでいうと、対戦相手が 2人ならどちらかがヒットしてる確率は「 1 - 二人とも滑り(2/3*2/3)」 = 5/9 もあり 1/3 から大きく上昇する。自分を絡めると、自分もヒット 5/27, 自分だけヒット 4/27, 相手だけヒット 10/27, 全員滑り 8/27。と、相手だけヒットしている確率が自分もヒット+自分だけヒットの確率よりも高くなっている。pot を取れるのは一人。競争相手が増えるとそれだけで不利になる。
- この場合、自分がマジでヒットしているのでなければ CB を打ちづらい。とはいえ相手 2人なら片方降りてくれ!で打つことも考えられる
- 相手 3人以上だと、そもそも pot がでかいので打たなくても報酬が大きい。勝率が高い手札でオープンしたから有利なはずなのでチェック進行でショーダウン目指してもいい(だいたいポケットペアが潜んでて持っていかれる)
- 先ほどのフロップで 1/3 ヒットの考えでいうと、対戦相手が 2人ならどちらかがヒットしてる確率は「 1 - 二人とも滑り(2/3*2/3)」 = 5/9 もあり 1/3 から大きく上昇する。自分を絡めると、自分もヒット 5/27, 自分だけヒット 4/27, 相手だけヒット 10/27, 全員滑り 8/27。と、相手だけヒットしている確率が自分もヒット+自分だけヒットの確率よりも高くなっている。pot を取れるのは一人。競争相手が増えるとそれだけで不利になる。
- BTN, SB からオープンした
- コールしたブラインドポジションの相手は「スチール狙いのしょうもない手札でオープンしてきやがってこのボゲェ!」と考えている
- よって、CB を打っても手札が強いと思われてないなら響かない。相手もしょうもない手札でコールして滑ったのでなければ簡単には降りてくれない
- ウェットボード、特に J から 7 あたりが組み合わさってストレートドローができてそうなミドルフロップ。JT7 など
- 自分に上のストレートやフラッシュの目がないなら危険な状況。CB を打っても響かない。むしろ相手にとっては「俺様がストレート引けるかどうかの勝負」になっている可能性がある。CB 打ったらドローを担保にレイズしてくる可能性が高い
- どう見ても勝ってないとき
- 88 でオープンして AJT がめくれるなど。一見、A がフロップにあるので、CB 打つと A ヒットしたと思ってもらえそう。しかしレイズされるとかなり困る状況。ボトムヒットにも勝てない 88 ワンペアではこのままショーダウンを迎えられない。突っ張るとしたらリレイズになるが相手 KQ, QT, JT, 98 などオールイン辞さない手札がたくさんある。今回はご縁がなかったってことで CB 打たずに降りる方向が丸そう。
- 98s など、強くない手札でオープンしたときも同様。滑ってたら勝ってないので、打ちづらい。相手より強いレンジの手札を持っているという前提に立ってない*3
- 上記の通り、CB 自体がかなりオープンする手札を絞っている価値観での考え方といえる
- びっくりするほど強い完成ハンドがフロップでいきなりできたとき
- 4カードやストレートフラッシュはみんなに見てもらったほうがいい。一切ベットせず、チェック進行しよう
- こっちが滑ったと思ってベットしてくる人がいると思うが、コールしてありがたく頂戴しよう(レイズは降りちゃうのでダメ)
- 4カードやストレートフラッシュはみんなに見てもらったほうがいい。一切ベットせず、チェック進行しよう
CB まとめ
- プリフロップで十分に強い手札(ATo、KJo 以上)でオープンしており、主導権を持っていること
- ヒットした・ヒットしてない、にかかわらず、主導権があればベットする。相手より強いレンジの手札を持っていることが根拠
- 広い手札でオープンしているプレイヤーにとっては CB 打ち得ではない。より難しい判断を課されている
- フロップ時点で相手が一人しかいないヘッズアップとなっていること
- 上記条件でボードテクスチャは 3回中 2回は CB を打てる自分有利の場になっているはず
- 逆に 3回中 1回は CB を打てない、相手有利の場になっているはず(ストレートできそうなど)
- それを見極めたうえで打つか打たないか、自分が判断する
- 3回に 2回程度というのは、さっき打ったから今回はやめとこ……、みたいなゆるい判断基準で目を瞑って打っているのではない
- ボードテクスチャを見て、「勝っているというには無理がある」状況では CB を打ちづらい。レイズでもコールでも困る
- 毎回 CB を打つ、というのはおかしい行動。相手にレイズやコールで咎められる
- 例外として、こちらの CB に毎回相手が降りてくれるなら、毎回打っていい。そういう気持ちいい卓がたまにある
- それを見極めたうえで打つか打たないか、自分が判断する
- 有利すぎるときも CB を打つのは考え物。弱気を見せてベットを引き出し黙々とコールしてたほうが儲かったりする
主導権 VS インポジション どちらが有利なのか
CB について詳細に確認したところで、主導権とインポジション、どちらかしか取れないのなら、どちらを取るのが有利なのか
- 実践的には主導権を持っている方が勝ちやすい
- 手札に勝率がある。6人全員がオールインしたとしても勝つ一人でいられる可能性が高い、強い手札。
- 勝ちやすいハンドを前提とした強いセットプレイを押し付けられる。
- 主導権を持たない側がドローハンドで反撃したとしても、いうてストレート揃う可能性は 1/3 程度しかない。
- 主導権を持つ側が歯を食いしばってショーダウンを目指すと、それに対応する側のプレイは難しい。フォールドが最適解になりやすい
- 結局、インポジションからコールで勝つときも手札が主導権持ってる人より強かっただけだったりする
- それでもインポジションのほうがかなり有利な気がする
- CB は毎回打てるわけではない
- CB を打ちづらい状況、というのは上記の通りボードテクスチャで大部分判断できる。主導権を持たないプレイヤーも打てなかった理由を類推できる
- アウトオブポジションのプレイヤーが主導権を放棄したら、インポジションの有利だけが残るのでは?
- アウトオブポジションがチェックしたら、インポジションからベットとチェックが選べる
- 弱みのチェックであれば、ベットすればフロップで降ろせそう
- 自分もチェックすれば、ターンに進める
- CB は毎回打てるわけではない
チェックバック ― インポジションの有利
主導権を持っているアドバンテージは CB を打つことができる権利だった。ではポジションがあることのアドバンテージはなんなのか。
- インポジションにいれば、相手全員チェック>自分もチェック(ターンに進む)という動きで、タダで 4枚目のカードを見ることができる
- 特にフロップ時点でドローハンドになってるときはベットするよりも有効。自分がフロップで CB を打たなかったことを弱気と見た相手がターンでベットしてくる可能性もあるが、インポジションの自分は 4枚見た状態でレイズ・コール・フォールドを選べる
- ポケットペアを持って 3カードを狙っているときも、タダで 4枚目をめくれるのはすごく大きい
- これはただチェックしているだけなのに強力なムーブである可能性が高い。インポジションのプレイヤーがチェックで次のベットラウンドに進む択を選ぶことには「チェックバック」と名前がついている*4
「主導権あり&ポジションあり」 VS 「なしなし」
では、主導権もポジションも自分が持っていたらどれほど有利なのか。どちらも持たずにフロップに来てしまったらどうするか?を考える
- なしなし(先に行動)
- チェック。ひとまずチェックして相手 CB 打ったら対応する。相手のチェックにリスクを負わせられない
- ベット(ドンクベット)。主導権を無視して自分からベット。損だがチェックバックされると困るなら
- ありあり
- 相手チェック>CB とチェックバックを選べる
- 相手ベット(ドンク)>弱ければフォールド、強ければコール、微妙ならレイズで応接する
主導権もポジションもないなら、フロップでは「ひとまずチェック」をするのがセオリーになっている。それは「なしなし」側のもう一つの選択肢であるベットが、「ドンクベット」として悪手とされているから。なんと「なしなし」はフロップでベットができない!?
それに対して、主導権を持つプレイヤーは CB を打つ権利も、チェックバックで 4枚目をめくる権利も持っている。特に後者のチェックバックはアウトオブポジションのプレイヤーがセオリー通りチェックをしてしまうと防ぐことができない。
一方の択を防げないのは弱すぎる。チェックできなくするためにはベットしなければならない。ありあり側の CB とチェックバックを同時に消せるドンクベットがなぜ悪手と言われているのかは考えておく必要がある。
ドンクベット
プリフロップではコールしたプレイヤーがフロップでチェックせず、プリフロップで最後にレイズしたプレイヤーよりも先にベットすること。アウトオブポジションかつ主導権を持たないプレイヤーが実行できる。以下の理由で悪手とされる。
- フロップで都合のいいカードがめくれたことが相手にバレバレ。ヒットしなかったほかのプレイヤーに降りる理由を与えてしまい、稼げない。
- しかもボードによってはレイズで返されると困る(KQ で Q84 めくれ Q ヒットでドンクしても、ドライボードなら AQ や QQ は喜んでレイズしてくる)。
要するに、プリフロップで 3bet できない程度の強さのカードで参加したのに、フロップの 3枚を見て急に元気にベットしてきたら明確に何かあると思われるので、そういうベットをドンキー(まぬけ)なベットと呼ぶらしい。ただし、上級者にとっては他にも理由があり、深い概念。アウトオブポジションから主体的に動く手法と言えなくない
- ドローハンドで安くめくりたい(ブロックベットとしてドンクしている)→ ある。コールしてくれたら言い値でめくれる。レイズされたら降りでいいし
- ドローハンドに引かせたくない(マジでトップヒットしててキッカーも悪くない)→ ある。降りてくれたらとりあえずこの pot を取れる。
- マジで強い(2ペア以上)→ 上述の通り降りられて損だが、チェック進行でポットが安いまま終わるのが不満なら自分から小さく打ってみるのはある
- 弱いハンドで相手を下ろしたい → 上記を踏まえ、楽しくてついドンクしちゃう、とブタなのに嘘のアピール、相手がしょーもなと降りるのを期待
- 「なしなし」のプレイヤーにとって「裏 CB」といえるようなセットプレイとして運用できる?だとすると、3回に 1回はドンクできるフロップになっているのではないか?
チェックレイズ・チェックコール
ドンクベットがダメならどうしたらいいの?って感じだが、普通、アウトオブポジションで主導権なしのプレイヤーは、チェックをして主導権を持つプレイヤーまで回し、主導権を持つプレイヤーがベットしてきたときに、それをコールではなくレイズする。チェックレイズという重要プレーとなる。
- 8BB の pot でドンクして降ろさせても 8BBしか儲からないが、チェックして相手の 1/2 CB にレイズ返して降ろさせたら 12BB 儲かる。
- 同じシチュエーションで 1/2 CB をコールなら 16BB になった pot でターンに進める。ショーダウン OK なほど強いのであればこっち
相手のベットを返せるハンドになっているならチェックし、相手の CB に対応した方が儲かることが多い。主導権を持たない側は打たせて取るのがセオリーといえる。逆に言うと、ドンクベットをしてしまうとそういう手札ではないことが匂ってしまうデメリットもある。
なしなしとドンクのまとめ
基本的にドンクベットは打ちたくない。ただしチェックしてしまった時点で、「ありあり」側もチェックを選んだらフロップが終わりターンに進んでしまう。絶対にフロップ時点でベットしたい理由ができてしまってるならドンクベットせざるを得ない。チェックにもドンクにも不安があり、「なしなし」のプレイヤーはプレイ判断の面でははっきり不利といえる。
- ドンクベットするメリットもあるが、インポジションのプレイヤーには判断材料を与えてしまう
- しかしながら、HU のフロップで相手がドンクベットを絶対にしないなら、「ありあり」のプレイヤーはチェックバックで 4枚タダでめくれることが確定となる世界だ。許される世界ではない
- ドンクベットを打たれた場合、打ってきた理由があるはず。なぜドンクしてきたか考える
プリフロップでブラインドポジションがディフェンスでコールすると「なしなし」になる(SBオープンBBコール以外)。主導権を持たずにアウトオブポジションでフロップをプレイするのがイヤなら、プリフロップ時点で 3bet して主導権だけでも取りにいくしかない*5。
CB・ドンクベットに対応する
CB や ドンクベットを打たれた側の対応について記載する。CB だろうがドンクベットだろうが、先にベットされたときの対応方針はあまり変わらないのでまとめて記載する。(以下 「CB」はドンクベットの場合、「ドンク」でだいたいは読み替え可能)
- 弱ければ降りる。大前提。レイズやコールをして負けるのであれば、降りた方がプラスになる
- CB にレイズを合わせる
- 「ヒットしてねぇだろ降りろオラァ!」というプレー。レイズする側としてはこれで降ろせれば自分がヒットしてる必要はない
- もちろん保険としてドローハンドを持っているとなおよい
- 本当にヒットして役になっているなら、レイズするよりコールする方が CB側に対してより圧をかけられる
- CB 側としては額にもよるが、ヒットしてなければ降り、ヒットしてたらコール、ナッツドローならオールイン辞さないリレイズ
- CB 側にとってレイズされたこと自体に驚きはしてもプレイ判断はしやすいといえる
- 「ヒットしてねぇだろ降りろオラァ!」というプレー。レイズする側としてはこれで降ろせれば自分がヒットしてる必要はない
- ドローハンドやトップヒットより強い手札を隠し持ってコール
- 強いハンドでのみ入って CB を打つプレイヤーにとって、レイズされるよりある意味怖い
- ベットやレイズはショーダウンに対する拒否行動とも言えるが、コールは強くショーダウンに向かう行動
- CB 側としては相手の方が強いことを真剣に警戒しなければならなくなる(レイズはフカシもある)
- CB 側はコール側のハンドがドローだと想定するなら、ターンで相手自摸っぽければ降り、ターンで関係なさそうなカードがめくれたらダブルバレルを考えなければならない
- しかし、コール側がツーペア以上できていて CB 側より強いなら、ダブルバレル・トリプルバレルは打ちすぎになり大きく吸われる
- つまり、CB をコールされた時点でターン以降の行動が読みあいになってしまう
- コールされたら CB 側よっぽど手札が良くなければ、ターンリバーはチェック進行にすることが多い。トップヒットあれば降りるほどではないから、相手からベットが来たときに備えてコール代に回しショーダウンを目指す
- CB をコールした側としても、常に役が入ってるわけじゃない。勝っているか負けているかわからないハンドを一回のコールでショーダウンできるのなら成功と言える
- しかも CB 側がコールされたことを必要以上にビビってたらターン以降、コール側から逆にベットしていくことも可能*6
- コールされたらダメなら CB だめじゃん、と思うプレイヤーはそもそも CB をあまり打たなかったりもする(より役が固まるターン・リバーで動く)
以上、フロップ編として、ボードテクスチャを読むこと、主導権とポジションで決まる対戦の選択肢、CB、チェックバック、ドンクといった重要プレーについて記載した。オッズとアウツに行く前に 10000字を超えてしまった。なんでこんなことになるのかわからない。
次回は「オッズとアウツ」「ブロックベットなどの意図のあるベット」など次で補足する。
つづく
*1:レイズ額については例外アリ。1BB ベットに対して×3 だとヌルい、など、セオリー外の額を打たれた場合、手動で調整が必要になってくる
*2:バレル:樽。燃料のイメージなのか?
*3:CB を打ちづらい、でも打たなきゃ降ろせねぇじゃん!ってなり堂々巡り。つまり俺程度の思考レベルでは 98s とかでオープンしても勝てない
*4:チェックバック, XB, CheckBack なので奇しくも略すと CB になってしまうがチェックは X で略すのが普通。XB。
*5:ポジションは回っていくもので選べないが、主導権は無理すればどのハンドでも取れる点で融通が利く
*6:フローティングと呼ぶ。CB をコールし、ターン以降、逆にベットすること。ヒットしてない CB を看過したプレー